【挑戦する人たち】阿蘇・南小国に惚れ込むスウェーデン人・ワル マックスさんにインタビュー

― 就職先として、なぜ九州が候補地に?

京都に住んでたとき、バックパック旅行で九州を回ったことがあって、広島から普通電車で鹿児島まで行ったんです。
普通電車にガタゴト揺られながら外を眺めてると、山や谷や小さな村があって、川が流れてて、そういう景色がほんとうに素敵だなぁって。
いつかこういうところに住んでみたいなと思ってたので、(南小国移住の)チャンスが訪れた時は「おぉ!来たかー!運命が!!!」って思いました。

― ”南小国“との繋がりは?

京都でできた友達の妹さんがスウェーデンへ就活するのをサポートしたことが縁で、僕が日本で就活していた時、彼から、南小国でインバウンドのツアーガイドをやれる人を探してるから一緒に行ってみるかって誘われたんです。早速、次の日に訪れました。

― それが、今、出向されている(株)SMO南小国でのお仕事ですね。

はい。
普通、外国人の就職先としては、英会話の先生が一般的なんですが、僕は元々、福祉を専攻していて、人の暮らしにかかわるような仕事がしたかった。
バックパック旅行の経験から、“九州の田舎に住んでみたい”という想いがあったので、実際に、南小国に足を運んで町を見てみて、自分が求めていた暮らしや仕事のあり方が全部揃っていました。

― マックスさんの”やりたいこと”と、南小国側の”やってほしいこと”が、合致したんですね!たしかに、運命かも…

はい!
一度帰国して準備をしてから、昨年12月に念願叶って南小国町に来ました。

僕は阿蘇全体がすごい大好きで、(住んでいる今も)毎日、本当にすごいところだなってつくづく思います。

― わかります!!!(私も移住者)

こんなすごい場所があるのに、実は、日本の中でもほとんど知られていなくてびっくりしました。

― 外国人という立場から見た阿蘇・南小国の観光ってどうですか?

場所や人は本当に素晴らしいです!ただ、外国人向けの情報もほとんどないし、あったとしてもバラバラで。
レンタカーがないとなかなか動けないし・・・。
まだまだいっぱい工夫できるところがあるなと思います。

― マックスさんは、ツアープランをつくられてるんですよね。

ツアーはいろんな形があるけど、ただ有名な観光スポットを回って、ガイドが一方的にしゃべるのではなくて、ガイドとお客さんが友達みたいな関係で、阿蘇のもっと深くて大きなストーリーを伝えられるようなツアーをしたいですね。“レスポンシブルツーリズム”って言うんですけど、地元に貢献・還元できるような概念でやっていきたいです。

― ツーリズムのかたちも変わっていく時代なんですね。

今の世の中では、壊されていくような技術や生き方がいっぱいある中で、阿蘇には元々の文化と生活の特徴が、資源としてバランスよく保たれていて。それこそが、阿蘇のポテンシャルで、“持続可能な暮らしの代表”として、世界に認識されたらいいなって。ツアーをつくるときも、そのことを念頭に入れています。
特に、阿蘇や南小国に行き着くような人なら、表面的に綺麗な部分だけでなく、もっと日本人の日常的な暮らしとか歴史とか、深いところを知りたいと思っていると思うので。
例えば、阿蘇は水が豊富で、そこは火山と繋がっていて、そのおかげで農業も盛ん。
水があるからこそ、阿蘇の農業とかいろんな生業があることとか。
そういう歴史とか、自然との関わり方とか、阿蘇の自然と歴史と人の暮らしの繋がりの深い部分を伝えたいです。

特に、僕は立岩水源が大好きなので、あそこで絶対なにかしたいですね!

― 暮らしを体験するツアーなども計画されてますよね?

阿蘇や南小国の景観はすごい独特で、山から広がる草原とか、特に欧米人の僕から見ると、めちゃくちゃいい雰囲気の田んぼとか畑とかいっぱいあって。

でも、草原とか杉林とか農村も、全部人の手が入っているじゃないですか。
人が手を入れているからこそ、きれいに保たれている。
そういう”自然の中の人の暮らし”そのものを、自転車で風景や香りの変化を肌で感じながら周って。
途中、農家さんのところで泊まって体験収穫したり、一緒に(食べ物を)作って食べたり、みたいなことが体験できるツアーがしたいですね。

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